かなたはて

とりとめもないこと。

【レビュー】『フロー式物理演習シリーズ16 弾性体力学 変形の物理を理解するために』

著者:中島淳一、三浦哲

『フロー式物理演習シリーズ16 弾性体力学 変形の物理を理解するために』

出版社:共立出版

 

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【目次】*1

1 弾性体力学を学ぶための基礎
例題1【総和規約】
例題2【クロネッカーのデルタ】
例題3【微分演算子
例題4【テンソルの対角成分の和】

2 歪
例題5【1次元の歪】
例題6【歪テンソル幾何学的な意味】
例題7【主軸と主歪(2次元)】
例題8【体積歪】
例題9【歪場と適合方程式】

3 応力
例題10【応力テンソルの対称性】
例題11【平衡方程式】
例題12【コーシーの関係式】
例題13【コーシーの関係式と応力ベクトル】
例題14【主応力】
例題15【モール円】
例題16【クーロンの破壊基準】

4 フックの法則と弾性定数
例題17【面対称な媒質における弾性定数】
例題18【1つの軸の周りに回転対称な場合】
例題19【直交する2つの軸の周りに回転対称な場合】
例題20【ヤング率とポアソン比】
例題21【歪の重ね合わせ】
例題22【剛性率】
例題23【体積弾性率】
例題24【弾性体の変形1】
例題25【弾性体の変形2】

5 弾性体の基礎方程式と歪エネルギー
例題26【地震波速度とポアソン比】
例題27【歪エネルギー】
例題28【歪エネルギーと弾性定数】

6 2次元問題
例題29【平面応力状態】
例題30【片持ちはりとエアリー応力関数】

A 参考文献
B テンソル
C 発展問題の略解

 

【感想】

 入門者向けの演習形式で学べる弾性力学の本......だと思う。が、自分には向かなかった。材料力学の基礎は学んだつもりだが、弾性力学は触ったことがない状況では、理解できなかった。

 本書の構成は高校数学のチャート式のようになっている。すなわち、章の始めに各項目の簡単な説明があった後に、例題がずらっと並んでいる。章末には発展問題があり、巻末にはそこそこ丁寧な略解がある。これは1行で答えだけ書かれているモノではなく、ちゃんとした解答。

 自分の場合、第3章までは理解できた。というか既に知っていることが多かったので読み進めるのに差し障りはなく、なんだこんなモノかと思っていた。しかし、第4章から知らない言葉や式が列挙されてきてついて行けなくなった。 

 例題の解答は確かに丁寧だった。でも、なぜそうなるのかとか、なぜその式を使うのかが分からなかったりした。これは章始めの部分で式の導出があまり解説されていないせいだと思う。例えば、何の脈絡もなく式だけ示されて、これをラメの定数と呼ぶと書かれても、ラメの定数とは何なのか、どういったときに使うのかは理解できないと思うが、本書の章始めの解説はこれくらい簡素。

 一通り弾性力学を学んだけど、演習しないと式の使い方が分からない人などには良い演習書なんじゃないかと思った。参考になった部分もあったが、初心者の自分には合わなかった。