【レビュー】『よくわかる連続体力学ノート』が難しい
著者:京谷孝史
『よくわかる連続体力学ノート』
出版社:森北出版
出版年:2008年
【目次】
第1章 数式の表記法に関する基礎的事項
第2章 力学モデルの構成
第3章 コーシー応力
第4章 変形の記述
第5章 力のつり合い式と仮想仕事式
第6章 種々の応力テンソル
第7章 構成則
第8章 数式操作のための道具箱
引用:https://www.morikita.co.jp/books/book/2512
【感想】
優しいけれど難しかった。
数式の展開や解説は丁寧なのでトレースはできるけれど、内容を理解して読み進めるのは難しかった。具体例があまりなく、抽象的な数式操作が続く点が難易度が高い理由かと思う。
本書の内容は、出版社HPの内容見本で見れるとおり、一般的な物理モデルと数式による解説がメインで例題が殆どない。なので、今読んでいる部分が何についての解説なのか把握しづらく、また実際にはどのように適用すれば良いのかを理解するのが難しい。自分は5章まで読んだあと、6、7章は読み飛ばしてしまった。
本書は弾性力学をより抽象化(一般化)させた内容の解説ではないかと思う*1。少なくとも連続体力学の一分野である流体力学に近しい内容ではなかった。なので、弾性力学を学んだ後や、有限要素法への理解を深めたい時などに役立ちそう。
あと、弾性力学と流体力学をつまみ食い的に解説している本*2とは内容が大きく異なっていた。同じような内容の本として、未読ではあるが『テンソルとレオロジー』や『非線形有限要素法のためのテンソル解析の基礎』が挙げられると思う。
本書の構成は、各章の前半が連続体力学の解説で、後半は道具箱と称して、その章で使う数学の公式を解説している。また8章は全体が数学の解説になっており、最初に8章を読むのも良いかもしれない。
先に書いたように解説は丁寧。弾性力学とか流体力学とかではなくて、抽象的な連続体力学を学びたい時にはオススメだと思う。
同じ出版社から『連続体力学の話法』が発売されているが、こちらは連続体力学と言うよりは物理数学の本で、連続体力学の解説よりは数学の解説の方がメインだった。『よく分かる連続体力学ノート』よりも変形様式や支配方程式の取り扱い方が詳しい印象がある。
また『例題で学ぶ連続体力学』は本書の演習本といった内容。本書で不足している演習や具体例を補足出来ると思う。
【参考リンク】