【勉強法】初級信頼性技術者【体験記】
日科技連が認定する信頼性技術者試験の初級を受験して合格した。驚くほど体験記がないので、勉強方法や出題傾向を記録しておく。
試験概要
信頼性工学とは、簡単に書くと、製品寿命を予測するための技術をまとめた学問。品質工学の中にも信頼性工学の考え方や技法が取り入れられているので、混同する人がいるかもしれない。
信頼性技術者は日科技連主催の民間資格で上級、中級、初級がある。受験資格不要で面接なしなのは初級のみ。
使用した参考書・参考資料
信頼性問題集
必須の問題集。しかしながら、これだけだと体系的に情報を整理するのが難しいと思う。悪い書籍ではないので余程のこだわりがなければ購入を強く推奨する。
新版信頼性工学入門
日科技連ではなく日本規格協会出版の本。信頼性問題集と用語が微妙に違うところがあった。可もなく不可もなく普通の本だったが悪い本ではない。信頼性工学の概観をつかんで、しかも計算方法の基礎も分かるまずまず良い本。しかし、QC検定1級に出るような問題は解説していない。例えば、偶発を前提しない場合のアベイラビリティの解析的な導出方法など。
QCプラネッツ
QC検定の解説記事が豊富なブログ。MTBFやアベイラビリティなどの詳細な導出が紹介されていてかなり参考になった。というより、書籍でもここまでしっかり幅広く紹介しているものは寡聞にして知らない。もしかすると信頼性の数理系の本だと紹介されているかもしれないけれど。
ただし本資格試験ではここまでのレベルまで要求されない。
勉強方法
試験の2か月前に受験を決意。受かるかどうか微妙なラインだったがばくちで受けることにした。統計学は大学の講義を1コマとった程度でt検定が分かるレベル。
勉強にあたって最初は信頼性問題集を1周した。やっていることが分かったような分からないような感じで、用語もよくわからなかった。なので、教科書として信頼性工学入門を購入して通読開始。この時点で残り1か月半ほどで、教科書を必要なところだけ読み切ったときには1か月弱になっていた。ただ、教科書を読んだことであやふやだった用語や計算手順が整理できたのはよかった。
そのあとは教科書とQC検定のネット解説を片手に問題集を解いた。最終的には6周ほど回したかと思う。多分間に合わないだろうなあと思いながら受験日を迎えた。
出題傾向と受験の感想
計算問題が結構出るかと思っていたらそうではなかった。問題集の第1章にある信頼性工学の用語とか歴史の話が結構出題された。これは全体の20%程の印象で、問題集の隅に書いてあるような言葉が散見された。
あとは実際のシステムを例にアベイラビリティとか信頼度を計算する問題が出た。たとえば、自動ドアが開くときは信頼度R1、閉じるときは信頼度R2とする場合、一度の開閉の信頼度はいくらになるかというような問題。計算問題自体はひねった内容はなく、基礎ができていればおおむね解ける応用の内容。
信頼性問題集の最後の方にあるプロット問題は出なかった。でもあらかじめプロットしてあるものから各種パラメータを読み取る問題はでた。それとワイブルプロットのパラメータがいくつの時、その故障率や信頼度のプロットはどんな形になるかという問題が出た。これが並べ替え問題で出ていて難しいなと思った。
100分で100問の試験だったかと思うが時間は足りず、途中までしか見直しができなかった。試験では出題文や選択肢の意図が分からない問題がちらほらあったのに困った。受験会場で頭を抱えていた人もちらほら。自分と同様、たぶん意図が分からない問題に悩んだのだと思う。
受験直後は不合格だと思っていて旅費と受験費用をどぶに捨てた気分だった。知識が身についただけマシかと思って納得しようとしていたけど受かっていたのでよかった。人に勧めるかといわれると微妙なところ。勉強のきっかけにはいいけれど業務独占でもないので。