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とりとめもないこと。

【レビュー】『絵とき生物化学工学基礎のきそ』生物反応工学の基本を理解したい人に

種村公平『絵とき生物化学工学基礎のきそ』日刊工業新聞社

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【目次】

第1章 培養システム
第2章 回分培養
第3章 連続培養
第4章 培養における生産性
第5章 連続培養の応用
第6章 酸素移動
第7章 スケールアップ

 【感想】

 生物化学工学(生物反応工学)の基礎を解説した参考書。

 生物反応工学とは、反応工学の手法を用いて、微生物の培養プロセスを解析する学問。具体的には、培養タンクである量の菌を培養したいとき、どれだけの栄養と菌を最初に加えて、何時間培養すると良いかを解析する学問である。

 本書は、図やグラフが豊富にあり、説明も丁寧。各章の章末に簡単な問題があるので、それを解くのも良いかと。

 生物反応工学の教科書としてだけでなく、反応工学の副読本としてもオススメ。橋本『反応工学』の後半の生物化学工学の章がわかりにくい時などに良いかと思う。また第6章において、丁寧な式展開で気液反応における二重境膜説を解説している。そのため、ガス吸収のモデルやkLa、その測定法がわかりにくい時に参照すると良いと思う。公害防止管理者など、ガス吸収の原理が出題される資格試験の勉強にもオススメ。

 “基礎のきそ”という題名だが、内容にごまかしがなく、しっかりと書かれている良い本だった。

単行本: 155ページ 出版社: 日刊工業新聞社 (2010/10/1)