かなたはて

とりとめもないこと。

【レビュー】『粉体プラントのスケール・アップ手法』

著者:坂下しずか

『粉体プラントのスケール・アップ手法』

出版社:工業調査会

出版年:1992年初版発行

 

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【感想】

  粉体の挙動を調べたくて購入した。必要なところのみ流し読みした。

 本書は題名通り、粉体プラントで使われる装置のスケールアップの手法を解説している。一般にスケールアップには解析解に基づく手法と、実験式に基づく手法があるが、本書ではその両方を取り扱っている。

 また本書ではスケールアップの方法だけでなく、粉体装置内の力学も解説されている。例えば、縦型スクリューコンベアの解説では、この装置に運ばれる粉体の移動速度やそれらに加わる圧力が説明されている。こういった装置内の現象を解説した本はあまりないのではないかと思う。

 一方で、一般的な粉体の理論は殆ど解説されていない。例えば、粒子レイノルズ数により粒子の挙動がどう変わるかとか、粒子径の分布とか、粒子充填率の詳しい解説はない。すなわち、大学で講義されるような粉体理論の説明はあまりない。

 本書のコンセプトは、粉体理論の解説ではなく、実際の粉体の取り扱いを体系的に解説することにあるのではないかと思った。スケール・アップの限界など参考になる部分が多かったので、同著者の他の本も購入したいと思う。

 

【目次】

まえがき

第1章 スケール・アップの考え方

1.1 相似性の原理

1.2 次元解析

第2章 粉体機器のスケール・アップ例

2.1 理論解によるスケール・アップ法

2.2 相似性を利用したスケール・アップ法

2.3 実験式よりのスケール・アップ

第3章 粉体操作のスケール・アップ

3.1 貯槽

3.2 供給・輸送操作

3.3 粉砕操作

3.4 紛糾操作

3.5 ふるい分け操作

3.6 混合・混錬操作

3.7 造粒・コーティング操作

3.8 乾燥操作

3.9 集塵操作

第4章 粉体プロセスのスケール・アップの問題点

4.1 スケール・アップの限界

4.2 スケール・アップ比と安全率

4.3 粉体プロセスとスケール・アップ

索引