かなたはて

とりとめもないこと。

【レビュー】『完全独習 ベイズ統計学入門』ベイズ統計学を初めて学ぶ人にオススメ

著者:小島寛之

『完全独習 ベイズ統計学入門』

出版社:ダイヤモンド社

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41dHnM6jV7L._SX354_BO1,204,203,200_.jpg

  

【目次】

第0講 四則計算だけで理解するベイズ統計学
第1部 速習! ベイズ統計学のエッセンスを理解する
第1講 情報を得ると確率が変わる 「ベイズ推定」の基本的な使い方
第2講 ベイズ推定はときに直感に大きく反する❶ 客観的なデータを使うときの注意点
第3講 主観的な数字でも推定ができる 困ったときの「理由不十分の原理」
第4講 「確率の確率」を使って推定の幅を広げる
第5講 推論のプロセスから浮き彫りになるベイズ推定の特徴
第6講 明快で厳格だが、使いどころが限られるネイマン・ピアソン式推定
第7講 ベイズ推定は少ない情報でもっともらしい結論を出す
第8講 ベイズ推定は「最尤原理」にもとづいている
第9講 ベイズ推定はときに直感に大きく反する❷
モンティ・ホール問題と3囚人の問題
第10講 複数の情報を得た場合の推定❶ 「独立試行の確率の乗法公式」を使う
第11講 複数の情報を得た場合の推定❷ 迷惑メールフィルターの例
第12講 ベイズ推定では情報を順繰りに使うことができる「逐次合理性」
第13講 ベイズ推定は 情報を得るたびに正確になる


第2部 完全独習! 「確率論」から「正規分布による推定」まで
第14講 「確率」は「面積」と同じ性質を持っている 確率論の基本
第15講 情報が得られた下での確率の表し方 「条件付確率」の基本的な性質
第16講 より汎用的な推定をするための「確率分布図」
第17講 2つの数字で性格が決まる「ベータ分布」
第18講 確率分布図の性格を決める 「期待値」
第19講 確率分布図を使った高度な推定❶ 「ベータ分布」の場合
第20講 コイン投げや天体観測で観察される「正規分布
第21講 確率分布図を使った高度な推定❷ 「正規分布」の場合
補講▶ベータ分布の積の計算
おわりに
もっと学びたい人へ

 

【感想】

 完全独習条件付き確率入門といった感じ*1。わかりやすい。まだベイズ統計学がどういったモノなのかは掴み切れていないが、エッセンスはこの本で十分なのだろうと思う。同著者の『完全独習 統計学入門』がすごく役立ったので、この本への信頼も厚い。

 本書の第一部では、様々な例題を用いて条件付き確率の考え方の基礎を解説している。ここでは数式ではなく、面積を使って確率の考え方が示されている。無味乾燥な数式を並べられるよりは、確率により世界が分岐する様を面積で示される方がイメージがわきやすい。

 第二部では、第一部で示した具体例を抽象化(一般化)すると、どう記述できるのかを解説していく。第一部とは異なり数式が出てくる上、一般の統計学(旧来の統計学)の知識も少し必要になってくるため、難易度は少し高い。解説自体は丁寧であるため着いていけなくなることはないと思う。ただ、ストレスなく、スムーズに理解したい場合は統計学を優しく解説した『完全独習 統計学入門』を先に読むと良い。

 ベイズ統計学の“ベ”の字も知らなかったが、迷子にならず最後まで読み通せた。本書も前著も初学者に優しい良い本だと思う。

*1:条件付き確率について数学Aの青チャートよりもわかりやすく説明してくれていた。