かなたはて

とりとめもないこと。

【レビュー】レオロジー測定のお手本には『化粧品のレオロジー』がオススメ

著者:名畑嘉之

『化粧品のレオロジー

出版社:米田出版

出版年:2015年

 

  

 

 

【目次】

第1章 最小限のレオロジー知識で化粧品を理解するために

1-1 レオロジーを理解するための基本

1-2 化粧品のための基本レオロジー測定とデータの見方

第2章 化粧品開発へのレオロジーの応用

2-1 化粧品性能の評価法としての応用

2-2 化粧品のマクロ構造解析法としての可能性

第3章 使えるレオロジーデータを得るために

3-1 化粧品測定に適したレオメータ

3-2 レオメータの性能把握

3-3 測定データ解釈にあたっての注意

3-4 測定目的と測定サンプルの取り扱い

3-5 サンドブラスト処理セル使用の必要性

引用:http://www.ne.jp/asahi/yoneda/shuppan/kesyouhinnnoreoroji-.html

 

【感想】

  p153程の薄い本。読んでいる途中だがすごく良い。取扱の少ない非線形粘弾性の解釈事例が載っていてかなり参考になる。

 第1章はレオロジーの理論をレオロジー測定の実際に結び付けて解説している。理論だけ学んでも、実際の測定や計算となると、どうしたらよいか途方に暮れることがよくあるので、この章のような解説はありがたい。

 以下2冊より理論と実測の関係を深く解説していたので、これらの本で物足りないときに読むと良いと思う。下2冊の上田本はどんなレオロジー測定法があるかの解説で、本書はどんなレオロジーの測定をすると良いかの解説本といった感じ。

  

 そして、第2章は著者がこれまで取り扱ってきた化粧品の測定例が多数掲載されていて、かなり参考になる。本書の真骨頂だと思う。

 レオロジストの著者が、どう考えて、このパラメータを測定し、どのように解釈したのかが示されている。ここには実現象をどのレオロジーパラメータで代表させて、どのように評価するかの試行錯誤が記されており、非常に参考になった。

 また化粧品は皮膚に塗布するため、化粧品の手触りを評価するには、大変形領域(非線形領域)でレオロジー的に評価する必要がある。そのため、解釈事例にも非線形領域に関することが載っている。先にも書いたが非線形レオロジーは事例が少なく、本書のような手軽な本で紹介されるのは、かなりありがたい。

 次の第3章ではレオメータ使用時の注意事項が書かれている。この章では実際のユーザー視点に立ってレオメータの癖や測定時のサンプルの挙動が解説されていた。実際に測定していて、変な測定結果が出た時のトラブルシューティングとして使えると思う。

 本書はレオロジーを実測する人にかなりおすすめの本。著者が積み重ねてきた泥臭い試行錯誤が記載されていて、レオロジー測定の道しるべになると思う。著者が他にレオロジーの本を上梓することがあれば、著者買いしたくなるほどよかった。